2017年08月01日

国民視線を意識しない政府・閣僚・官僚

<稲田朋美氏の満面の笑みをどう解釈したら良いのだろう>
 往生際の悪かった前防衛大臣の稲田朋美氏、日報問題の責任を取って辞任したにもかかわらず、7月31日には堂々と離任式に出席し、離任式を終えると防衛省の職員・自衛隊員に向かって満面の笑みを浮かべながら別れを告げた。
 私はテレビの映像を見て、この人の神経は一体どうなっているんだろうといぶかった。
 確かに辞任の直接的な理由は日報の隠蔽問題かもしれないが、その前に何度も失言や虚偽答弁をして、国会議員・防衛大臣としての資質が問われている。その都度、辞任や罷免を求められてきたが、本人も安倍内閣も無視し続けてきた。我々民間人とは全く異なる感覚・精神構造と言わざるを得ない。
 そういういわくつきの大臣が離任式を辞退するどころか、まるで花道を飾るかのように堂々と演説し、満面の笑みを浮かべながら別れを告げる。
 おそらく彼女の頭の中に、国民がどう思うかなどという視点は全くないのではないか。
 こういう人が選挙で選ばれ、権力者の引きで政府の要職に就くという議会制民主主義の限界を見る思いである。

<森友学園・加計学園問題の政府答弁は国民を愚弄しきっている>
 森友学園の籠池元理事長がとうとう逮捕されてしまった。マスコミ報道による限り、籠池氏が補助金を水増しして受領したことは本当かもしれないが、トカゲの尻尾切りのように、国策捜査で籠池夫妻だけを罪に問うのはどう見ても片手落ちである。
 その教育理念に感動して、名誉校長を引き受けたり、寄付金を出したりした安倍総理夫人の「私人」の枠を超えたのめりこみぶりは全く問題にならないのか、小学校の土地を8億円も値引きした近畿財務局は捜査の対象としなくてよいのか大いに疑問である。
 記録がない、記憶にないの一点張りで国会軽視、国民を愚弄する答弁を続けて、ついに国会を乗り切った官僚が理財局長から国税庁長官に栄転した報道に接すると、安倍政権がいかに国民を馬鹿にしきっているか、はらわたが煮えくり返るほど腹立たしくなってくる。
 加計学園の今治市への獣医学部新設問題の安倍総理の「丁寧な回答」にもあきれ果てた。腹心の友が国家戦略特区に申請したことなどとっくの昔に知っているにもかかわらず、1月20日に事務方からの報告で初めて知ったなどと見え透いた嘘で押し通す神経は、我々凡人にはとても理解できない。
 国会とは政治家のなれ合いの議場であって、国民がマスコミを通じて得た情報でどう判断するかなど全く眼中にないのだろう。

<とはいえ、そういう政治家を選んだ責任は我々国民にある>
 政治家や閣僚・官僚の悪口を言って、うっぷんを晴らしてみたところで、実際に我々が行動を起こさなければ、何も変わっていかない。
 私の住居のある長野2区でもとんでもない男を衆議院議員に選出してしまったが、選んだのは我々選挙民の責任である。
 驕り高ぶった総理大臣や官房長官を選んだのも選挙民の責任、圧倒的多数の自民党を選んだのも選挙民の責任である。
 国民の視線を意識しない人たちの悪口ばっかり並べ立てる前に、自分たちがきちんと責任を果たしているかもう一度よく考えてみる必要がある。選挙で清き一票を投じること、政府の施策にどうにも納得がいかなければ陳情やデモという手段もある。ITが普及した現代社会ではもっと手早くSNSを通じて発信を続けることも有効だろう。
 結局、国民のレベル以上の政治や行政が期待できないのだとすれば、われわれ国民が政府・閣僚・官僚に愚弄されないだけの賢さと行動力を身につけなければならないと痛切に感じる昨今である。
以 上
posted by 木村登志男 at 11:40| 政治・社会