2017年10月28日

株価高騰とアベノミクスの課題

 先日の衆議院議員選挙で自民党が圧勝したあと、日本の株価が高騰を続けています。先週末の日経平均株価終値は22,008円、21年3か月ぶりの高値水準だそうです。
 アメリカの株価も高騰していて、NYダウが23,400ドルを上回る水準まで上がってきていますから、日本の株価も自民党圧勝の影響だけではなく、世界的な金余りの恩恵を受けてはいるのでしょうが。

 日本も安倍政権発足と同時に始まったアベノミクスによる金融緩和の影響を受けて株価は上昇を続けていて、富裕層は大いに潤っているようですが、株価上昇の恩恵を受けない人には、豊かになった実感がまるでないようです。
 それはアベノミクスの第二の矢である財政政策と第三の矢「成長戦略」が全く成果を上げていないことが原因ではないかと思います。

 先の衆議院議員選挙の折、希望の党の党首小池百合子氏が「内部留保税」創設について言及していました。企業がお金を貯めこんで、従業員のベースアップや成長のための研究開発投資や設備投資にお金を振り向けないのなら、税金で取るぞという論法だと思います。
 こういう政策がよいとは思いませんが、野党政治家にそこまで言わせるのは、企業側に問題があると同時に、政権与党の政策不徹底に原因があると思います。
 成長戦略による規制緩和が適切に推進され、その裏づけとなる財政政策が適切に行われるならば、企業側も適切な投資や賃上げもしやすくなるはずです。

 ただ、企業側の問題点としては、これまで自己資本比率が米国企業に比べて低すぎたことへの是正のため内部留保を厚くしてきたという理由はあるにしても、「利益至上主義」で、「付加価値」を軽視してきたことがあげられると思います。
「付加価値」はご承知の通り、利益の他に人件費・研究開発費・減価償却費・金融費用が主要構成項目になりますが、多くの日本企業は利益を出すために、人件費を削り、研究開発費を抑え、設備投資も先送りしてきました。
そのため、日本企業の付加価値は長期低落傾向になってしまっています。
 これはアメリカ型の短期業績主義に追随した経営の結果で、これでは企業の長期的な成長発展は望めません。
 企業の使命はより良い商品・サービスを創造し、それを市場が受け入れやすい価格で提供する、その結果需要が増え、企業の仕事が増えそして従業員の賃金も上昇するというサイクルを創り出すことです。「利益重視」よりも「付加価値重視」でなければなりません。
 従業員の賃金が増えなければ、消費は拡大しません。消費拡大が起点とならなければ景気は良くなりませんし、経済成長もありません。

 「利益重視」は当然であるとしても、その前に利益を含む、「付加価値」全体を上げなければ企業の長期的発展はありません。また、適切な労働分配率が維持されなければ、従業員が安心して仕事に没頭することができませんし、消費も拡大しません。

 企業経営者の奮起を期待するとともに、安倍政権にはぜひとも「アベノミクス」を成功させるための成長戦略と財政政策をもう一度原点に立ち返って見直し、実行してもらいたいものです。

以 上

posted by 木村登志男 at 06:40| 経済・経営問題