2017年06月05日

突然の訃報

2017年6月3日

突然の訃報

 元勤務していた会社の秘書室から、先日「役員OB様」宛てのメールが届きました。

 それは、私の元同僚の突然の逝去を知らせる「訃報」のメールでした。

 その元同僚の名前を目にした瞬間、私は愕然とし、驚きを禁じえませんでした。年齢は私と同じ74歳。病気やケガなどとは無縁に思える頑健な男です。そのいかつい顔つきから、シンガポール赴任中に誰がつけたか、あだ名が「ガルーパ」。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、いかつい顔つきの淡水魚で、その白身の肉は実に美味。シンガポールの中華料理では格別の高級魚です。

 ガルーパ氏は豪放磊落。明るく誰からも親しまれる男。膂力にも恵まれ、ゴルフのドライバーを振らせれば、250ヤードほども飛ばすロングヒッターでした。ただし、飛距離は抜群でも、方向性は必ずしも一定せず、時にはOBゾーンに飛んで行ったり、あるいは隣のホールに飛んで行ったりということもありました。

 私が実際に一緒にプレーして目の当たりにしたのは隣のホールに打ち込んだ第1打のボールを第2打では木越えの難しい状況から見事グリーンにパーオン。ただし、そこから3パットして上がりはボギーというご愛敬。
一方、尺取虫のように小刻みで3オンした私は2パットで同じくボギーという手堅さ。
結局、二人とも18ホール終えてみれば、それぞれ紆余曲折、デコボコがあってともに90の同スコアだったということがありました。
 抜群の力量がありながら、ところどころでポカもあって、人を喜ばせる。そういうところが皆に好かれたところだったのかもしれません。

 もちろん仕事面では海外駐在が多く、会社への貢献度は極めて大。立派な役員でした。

 それはさておき、訃報メールに話を戻すと、「急逝されました」と書かれていました。病気療養中などとは聞いたこともなかったですし、昨年の夏に会ったときも相変わらず元気いっぱい。海外も含めてあちこち飛び歩いているとのことでした。

 なぜ急逝されたのか、事情が知りたくて、会社に問い合わせてみました。死因ははっきりしませんでしたが、長野県内に遊びに来ていて、宿泊先で突然死されたとのこと。また別の人からは豪快に飲んだ後、風呂に入ったのがいけなかったのではないかという話もありました。しかし、真相は定かではありません。ただただご冥福をお祈りするばかりです。

 どうも自分では若く元気だと思っていても、身体のほうの老化や劣化は確実に進んでいるのでしょう。

 ガルーパ氏以外にもこれまで親しくさせていただいた友人で60歳代、あるいは70歳そこそこでお亡くなりになった方が何人かいらっしゃいますが、その都度悲しく、残念な思いをしてきました。

 私自身これからどういうことになっていくのか予想もつきませんが、食事と飲酒そして運動には十分配慮しながら、一日一日を大切にしていこうと改めて思っています。
posted by 木村登志男 at 14:55| 雑感

2017年05月08日

2017年世界10大リスク

 皆様こんにちは。SOBAの顧問をしている木村登志男です。
 このたび、SOBA事務局のお計らいで私のブログコーナー「こんにちは木村です」を開設していただけることになりました。
 「こんにちは木村です」というタイトルは元々は1998年にセイコーエプソン情報画像事業本部のホームページに私のブログを掲載するために命名してもらったものです。
 毎週1回、私が仕事を通じて得た感想とか、出張先の様子だとかを綴って情報画像事業本部およびその関係会社の方々に読んでいただきました。英文に翻訳もしてもらいましたので、海外法人の現地従業員の皆様にも読んでいただきました。

 さて、私もセイコーエプソン副社長を退任してはや10余年、法政大学ビジネススクール教授を辞めて4年余り、仕事や授業の現場は遥かかなたのものになってしまいました。

 そんな私にできることは何か?
 いろいろ考えてみましたが、毎日毎日仕事でお忙しい皆様に成り代わって、世界の情勢や経済・経営問題についての情報を集め、それを私の所感を交えて皆様にお伝えするのがよいのではないか、と。

 ということで、第1回目の今回のタイトルは「2017年世界10大リスク」です。

 皆様は「ユーラシア・グループ」をご存知でしょうか。
ニューヨークに本部を置く世界最大の政治リスク専門コンサルティング会社です。
1998年に政治学者のイアン・ブレマーによって設立され、立ち上げ当初は、同氏の専門分野であり、社名の由来でもある旧ソビエト連邦や東欧諸国にフォーカスしていましたたが、現在は全世界の分析を行っています。
このユーラシア・グループが毎年はじめに「世界10大リスク」というレポートを発表しています。その2017年版に書かれていることは、「G ゼロの世界」すなわち「主導国なき世界」がいよいよ誰の目にも明らかになるということです。
 米国のトランプ大統領の登場で「アメリカ・ファースト」(米国第一主義)が外交の原動力となり、何十年にもわたる「アメリカ例外主義」=米国のリーダーシップが不可欠であることに対する確信との決別が明らかになりました。これは「パックス・アメリカーナ」の70年にわたる地政学的時代の終焉を意味します。

2017年、世界は地政学的後退期に入る。政治リスク環境の節目の年になる。

先ずこの後退期の始まりとなるのは、

1.わが道を行くアメリカ
 トランプの「アメリカ・ファースト」思想と「米国を再び偉大にしよう」という誓約。それは世界情勢において必要不可欠な役割を果たすという米国の責任からの独立を意味し、米国が国際機関および一連の同盟諸国から背負い込んだ重荷を投げ出すことを意味します。
 トランプは米国の国益のために米国のパワーをもっと直接使いたがっています。彼は断固たる単独行動主義者なのです。米国の核心的利益を守るためなら他国にどのような影響を与えようがお構いなしに実力行使しようとするでしょう。
 最も大きな変化は価値観の領域に見られます。
 例えば同盟関係はもっとビジネスライクになるべきで、短期で双方ともに利益があるのでなければ意味がない。
 今の世界で米国の利益にならない条約(NATO,「一つの中国」、気象変動に関するパリ協定、北米自由貿易協定)によって制約されるべきではない、ということです。
 トランプのこのような思想・行動はいくつかの政治リスクを生み出します。
*超大国が何もしないことに伴って混沌が生じる。
*制度的枠組の広範な弱体化(国連、世銀etc.)
*中国の台頭と米国との直接紛争の可能性の高まり。対決はいくつかの方面で想定できる。例えば、米国・台湾関係の緊密化、北朝鮮の核の脅威、通貨・知的財産・通商等々。
*ロシアがはぐれ者、攪乱者として振舞いながら無事に逃げおおせること。「わが道を行くアメリカ」はプーチンにかなり自由に泳ぐ余地を与えます。

2.中国の過剰反応
 この秋に予定されている中国指導部の交代、上層部の人事異動は習国家主席が作り出した対立的な政治環境と相まって、今回の指導部交代を、中国の改革が始まって以来最も複雑な出来事にすることになります。
 今回の習国家主席の権力基盤固めから2つのリスクが発生します。
@外交政策上の挑戦に対して、強硬に対応する可能性が高まる。それは米中関係が急激に悪化する可能性につながる。
A党大会に向けて安定を優先することによって、重大な政策的失敗を冒す可能性を高める。

党大会を前にして権力闘争は激化し、習国家主席は自分が弱く見える如何なるなる事態をも避けることを優先するだろうがその決意にはリスクが伴う。
@中国の国益に対する国外からの如何なる挑戦に対しても断固たる対応をとるということは対外政策上の緊張がエスカレートすることを意味する。そのきっかけはトランプの対中政策、台湾、香港、北朝鮮、それに東シナ海および南シナ海等々。
A経済上の問題の兆しがあれば、習国家主席が過剰反応する可能性がある。もし、習国家主席が間違いを犯せばそれが何であれ世界経済の動揺をもたらす。

3番目のリスク以降は説明を省き、項目だけ列挙します。ご興味のある方は原文を検索してお読みになってください。

3.弱体化するメルケル

4.改革の欠如:政権を担う政治家たちが構造改革を回避し、成長および投資家たちの新しいチャンスへの期待を損なう

5.テクノロジーと中東:米国の新しい高度な回収技術によるエネルギー革命が、OPECを急速かつ大幅に弱めた

6.中央銀行の政治化:ありとあらゆる政治的、経済的問題を政治家たちは中央銀行のせいにするようになった。こうした攻撃は金融・経済の安定を提供するテクノクラート機関としての中央銀行の役割を覆す恐れがある

7.ホワイトハウス対シリコンバレー:シリコンバレーの企業家たちはトランプ大統領と根本的に違う世界観をもっている。シリコンバレーの核心的イデオロギーは自由とプライバシーだ

8.トルコ:エルドアン大統領は今の緊急事態を利用して、自分の支配権を強化し続けている。その権力集中は、司法が政治的に従属させられるところまできている

9.北朝鮮:核兵器およびミサイルの開発計画を大きく前進させている。米国の政策は開発計画の完全除去だが、トランプ政権が北朝鮮に対する強制的な圧力を強めれば、米中関係に危機をもたらす

10.南アフリカ:ジェイコブ・ズマ大統領がその与党アフリカ民族会議(ANC)内外の敵と対峙している政治危機は2017年にはさらに悪化し、南ア経済をより大きなリスクにさらす

さて、皆様ざっと2017年世界の10大リスクをご覧になってどのようにお感じになりましたか。
皆様のお仕事と政治リスクは直接関係はないかもしれませんが、より広い視野を持つことは長期的な計画を考えるうえで非常に重要です。
何らかのご参考になれば幸いです。
posted by 木村登志男 at 16:38| 世界情勢